最近ラッピーのスタッフさんから、「仲間内で未だに新井さんの不帰滑降動画を見る」という話をされ、ちょっと感慨深いものがあったので、少々長いですが昔話にお付き合いください。

ZAGの創業は2002年ですが、僕がZAGに出会ったのもちょうどその頃で、当時のフリーライドパウダー系の板はセンター84のBIGと93のGold、75のFR75というラインナップでした。SLAPが出るのはちょっと後です。

この3本の特徴は極端に太いトップとアーリーライズの形状で、ZAG的にはヨーロッパで一番最初にロッカーを作ったのはうちで、サ〇モンのBBRとかはうちのパクリだ!などと豪語しています(ハナホジ)。

センター的にはSLAPが100あったので一番太かったのですが、ロッカーも無く、割とキャンバーも強い板だったので、山スキーの板としてはGOLDが完成度も高かった印象です。

AKH君が引き継いだGOLD

ちなみに2006年のアラスカは新井はGOLD、自分はシュガーダディ、同行のAKH君はB3でした。いやー、時代を感じますなw。

その後程なくして出たのがH112で、ほどほどの重量ながら死ぬほど張りの強い板で、GOLDのしなやかな操作性とは真逆のGS板をただ太くしただけみたいだったそうで。なお、僕は乗ったことはありません。

AKIBAXが引き継いだH112

動画の不帰とか、不帰一峰とかはH112で滑ってるはずです。

このH112ですが、センターは102です。112はヨーロッパの緊急電話番号でHはHospital、要は突っ込んで怪我したら電話して病院逝けみたいな名前の板です。

2006年にZAGは一旦倒産してしまって、その後経営体制を変え、拠点をシャモニーに移してツーリングとフリーライドスキーに注力してきます。

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2009年頃のSLAPMW、タマキスポーツで買いました。

余談ですが、この2006年に黒いカラスがシャモニに現れて、豊富な資金力を背景に一気にシェアを伸ばしたので、ZAGは悔しくて仕方ないんですね、「あんなのただのファッション板だ!」と、いつもディスっています(ハナホジ)。まあ日本ではそんなイメージもありますが、現地では往年の名女性クライマーのリヴ・サンゾをガイドとしてサポートしたりしていて、中々どうして本物な感じもあります。

話を戻すと、H112とSLAPはその後も進化しながら開発が続いていました。

新しくなったH112はPatrol(現Harfang)のシリーズに組み込まれ、ポプラコアのガチっと重い、どちらかと言えばゲレンデ寄りのフリーライドモデルになり、センターもしっかりと112になっています。まあゲレンデといってもヨーロッパだと十分死ねる斜面がたくさんあるみたいですから、リゾートスキーではないのですけど。

リミテッドでナース柄のモデルがあったことを知っている人はなかなかのマニアです。

ただ残念ながらH112は18/19モデルで終了、19/20ではH116に変わりましたが、これも今はなく、H106がHARFANGでは一番太い板となっています。

ではH112は幻の名機なのか、というと今もしっかりとその魂は引き継がれています。

そう、センター102のUBAC102が軽量なツアースキーとして進化したモデルと言えます。102はUBACシリーズの中では一番張りが強く、これをヌルチューンして乗りやすくしたのが112と95という位置づけです。

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つまりU102こそZAGがずっと育ててきたSteep Powder Quiverだとも言えます。

ちなみGOLDやBIGはどこに行ってしまったのかというと、H86、そして今季登場のMATAにしっかりとそのシェイプが受け継がれています。ちなみにMATAがカクカクした形状なのはZAGさんがアルペンスノーボーダーだったかららしいです。

さて、そんなU102ですが来季ガラッと変わってしまいます。どうなるんでしょうね。今季までのモデルは約10年続いた完成度の高いモデルなので、それはそれでとても貴重です。

112とかはあの太さであの軽量さでかつ見た目よりイージーな乗り味なので、これまた貴重です。ペツルのヘルメットにATKという界隈の皆さんには現行モデルがもしかしたら向いているかもしれません。

詳細は引き続き後日ということで。

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